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星 

それはゆるゆると流れている風だった。
空気の色そのままに、陽炎のようにユラユラと立ち昇り
時折、光の欠片をチカリチカリと吐き出しながら。
「・・・・これは?」
僕はきいた。 目の前に差し出されたものは何なんだ?
「忘れたの?」
彼女は冷たい表情を崩さずにつぶやいた。
「あなたと私は何度も衝突し、合体を繰り返した」
「出会い始めたころだったね」
「まだお互いに成熟する前だった」
「混沌とした世界だった」
だから
「これは・・・・あなたと私の、愛の結晶じゃないの」

僕は結局それを受け取ることを拒否した。
そんなつもりじゃなかったんだよ、と言わなくても
彼女ならわかってくれそうな気がしたのだ。
僕らは互いに成長するために相手を利用しただけの関係だった。
僕は今では新しい命を抱え、美しい世界を作り始めている。
一方の彼女は、その冷たい美しさそのままに
僕よりも大きな世界を作り上げ、その引力に惹かれるものは後を絶たなかった。
貪欲な彼女が、なぜあれを独り占めしないのか
僕にはわからなかった。
「放つわ」
別れ際に、彼女が叫んだ。
「これは、誰のものでもない、放つわ!」

それから夢中で僕は僕の世界を作リ続けたが、ある日
ソラを見つめて、ふと気がついた。
ふたりの関係の果てにできたそれが
長い時間をかけて僕に近づいてきている。
彼女との距離を埋められなかった僕に向かって
それは、まるでブーメランのように
楕円軌道を描きながら、戻ってくるのだ。
彼女ははるか遠くでそれを黙ったまま見つめている。
それが僕を傷つけるのか、なにもせずに通り過ぎてゆくのか
彼女は任せきったまま、無言で見つめている。

その日は計算通りにやってきた。
僕と彼女の遺伝子を継ぐものは
僕のすぐ前を走っていた。
息を呑む。
彼は僕をチラリと見て、そしてニヤリと微笑んだ。
僕の怖れも彼女の恨みも知ったこっちゃ無い、と唇の端をあげて
彼は足を早めた。
そして、一足先にバスに飛び乗って、あっという間に去って行った。



駆け抜けてゆく流れ星のように。

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