> スポンサー広告

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  • --.--.-- --:-- 
  • コメント(-) |
  • トラックバック(-) |
  • URL |

> story

おくりもの 

ボクが昼寝から目を覚ますと
みちさんは「すいぶん寝ていたね」と言って
おいしいミルクをくれた。

ボクはみちさんの家の庭に
昨日、置いていかれたんだって。

みちさんはボクをみつけて
ちょっと困った顔をした。
みちさんはずっと、ひとりで暮らしていて
仕事に出かけていくと家には
誰もいなくなってしまうから。

みちさんが困っていると
となりの家から
ボクの声を聞いて
男の子が顔を出した。
「あ!かわいい!」
男の子はうれしそうにボクに近寄ってきて
やさしく抱き上げてくれた。
「おねえさんが仕事でいない間、お世話してもいい?」
みちさんは目を丸くしてうなずいた。「もちろん、いいわよ」
男の子のお母さんがニコニコしながらこっちを見ている。
みちさんは、お母さんに、おじぎをした。

ボクはみちさんとお散歩をするのが大好きだ。
みちさんは、ボクが来るまで
あんまりお散歩はしてなかったみたい。
「ねえ、ふしぎだね」
みちさんは、歩きながらボクに話しかける。
「前は話しかけてこなかった人が
今は、こんにちは、って笑いかけてくれる。
キミと一緒にいるだけなんだけど」
ボクはみちさんを見上げる。
みちさんは、ふふふって、幸せそうにボクを見て、ほほえんだ。

ある夜、ボクは熱を出した。
みちさんはあわてていろんな病院に電話して
ボクを連れて行ってくれた。
夜遅かったけど
お医者さんはとても親切だった。
「この子はどうしたんですか?」
「家の庭に置いていかれた子なんです」
「そうなんですか・・・あなたがお世話してるんですね」
「はい。ご近所のかたに手伝ってもらっています」
お医者さんはみちさんにやさしく言った。
「また明日、様子を見せてください」
「ありがとうございます」

みちさんは、ボクが来るまで
ずっとひとりぼっちだったんだって。
でも今は違うよ、って
いつもおいしいミルクをくれるたびに
ボクに笑いかける。
ボクもみちさんと会えてうれしかったよ。

次の日、ボクの様子を見て
みちさんの顔色がまっさおになった。
かけこんだ病院のお医者さんの顔も昨日とは違う。
ボクは一度だけ、「みちさん」ってよんで
そして目を閉じた。

みちさんがボクを抱いていると
となりの男の子が泣き出した。
お母さんも目を真っ赤にしている。
みちさんはやさしい人たちに囲まれていた。

そして、みちさんはボクの背中に
白い小さな羽をみつけた。
羽にさわろうとしたみちさんの手に
ふわりと冷たいものが降りかかる。
雪だ。
みちさんは、空を見上げた。


今日はクリスマスだったね
男の子が涙をふいて言った。
みちさんは天使のボクを抱きしめながらつぶやいた。

ありがとう、おくりものをありがとう
そして
ずっとわすれないよ
スポンサーサイト

> story

おじさんの木 

12月になってある寒い朝。
前の日に降った雪をスコップで除けていると
隣のおじさんが目を丸くして走ってきた。
「ちょ、ちょ、ちょっと!!」
店先にいた私と母をつかまえて尋常な様子じゃない。
「どうしたの?おじさん」
「こ、こ、こ、これ見てくれよ!」
被っていた毛糸の帽子をサっととると
おじさんの綺麗な禿げ頭を差し出す。
私達は息を呑んだ。
だって、おじさんの頭のてっぺんに
小さな緑色の芽が生えていたのだから。

おじさんの頭の芽はその日のうちに大きな話題になり
テレビ局やら新聞社やら学者さんやらお医者さんやら
さまざまな人たちがやってきて
それはそれは大騒ぎになった。
「こういうの見たことあります?」
「無いですね」
「お花屋さんでもそうなんでしょうね」
「いつもお店では見てますけど、人の頭の上では初めてです」
当たり前のことを何度も質問されて
私も母もだいぶ疲れてきた。
私たち以上に、おじさん本人が疲れてきていた。
燦々とお日様の光があふれる店先のウッドデッキで
おじさんがうとうと居眠りを始めると
パコン、と音がするように
芽の先がふたつに割れて双葉になり
ニョキニョキニョキっと頭の上で芽が育ち始めた!
テレビ局やら新聞社やら学者さんやらお医者さんやら
大勢の人が見守る中
こっくりこっくり眠るおじさんの頭の上で
芽はどんどん大きくなっていった。

【今日のおじさんの木】
テレビ局はおじさんと契約を交わして
毎朝おじさんの頭の上の様子を朝の番組でレポートするようになった。
芽は大きくなり
どうやら何かの木になるようだったので
タイトルは、こんな感じ。
木は、ずんずん大きく太くなってゆく。
「おじさん、どんな感じですか」
「どうもこうも頭が重くて肩が凝るよ」
「だいぶ成長しましたね~」
芽が生えてから1週間。
私も母も、それがなんの木なのか気がついていた。

そして、その日がきた。
頭の上で小ぶりながらも立派に育ったモミの木。
おじさんは重さで少しうなだれてはいたけど
頭の上の木にクリスマスの飾りつけをされて、嬉しそうだった。
「懐かしいねえ。子供達が小さかったころは
毎年こんな風にツリーを飾ったもんだよ」
シャンパンをふるまわれて
おじさんは気持ちよく居眠りを始めた。
ひざ掛けをかけようと近づいた私は
おじさんの頭の上で何かが動くのを見つけた。
モミの木の枝のなかに
素早く隠れたそれは
小さな赤い服を着たサンタだった!
サンタはクチに指をあて
「静かにね」、とウインクした。
ウ、ウンとうなずく私。
そのとき、遠くからシャンシャンシャンシャン、、、と
鈴の音が。

音はだんだん近くなってきて
そして、店の前でとまった。
あわてて店のドアを開けて見ると
大きな車から何人もの子供たちが飛び出してきて
「おじいちゃんはどこ?」
「おじいちゃん!木を見せて!」
運転席から、隣の息子さんが出てきた。
「やあ。お久しぶりです。
すっかり父がお世話になってしまって」
まあまあ、立派になって、と母が懐かしそうに招き入れる。
鈴の音かと思ったのは
タイヤに巻かれたチェーンの音だったんだわ
じゃあ、あのサンタは?

数年ぶりに孫達に囲まれて
おじさんはますます嬉しそうにしている。
そっと頭の上の木を覗いてみると
枝の陰に、小さなサンタの人形が飾られていた。


おじさんに温かな日々が続きますように。

メリークリスマス
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。